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☆ココハナ2015年10月号 アシガール第四十三戦☆

(ネタバレになります まだ知りたくない方はここでページを閉じてくださいネ)







若君の御座所にて

若君 「これは 唯之助のおふくろ殿  いや今は信近の女房であったの」

おふくろ様「お庭先よりご無礼いたしまする」

庭先で控えながら話すおふくろ様

若君 「如何された?」

おふくろ様「此度のこと… 
    唯之助が高山に捕らえられましたこと まことに申しわけございません
    若君様には ご案じくださり 探索にもお出ましあったと聞き
    心苦しゅう存じておりまする」

若君 「何を申す… 唯之助は松丸の姫を救うため 身代りになったもの
    詫びるのは わしの方じゃ」

おふくろ様「いえ あの子はいつも後先見ずに事を行うのでございます」

若君 「それは存じておる  だが案ずるな
    唯之助の事は何としても無事に取り戻すゆえ」

おふくろ様「…… 若君様には 唯之助を救うために ご自身で出向かれるなどと
      よもや お考えではありますまいな」

若君 「え・・・  ・・・・・・・・・
    ・・・ハハ  まさか その様なこと考えてはおらぬ」

おふくろ様「左様でござりまするか
      これは 差し出たことを申しました お許しくださりませ」

若君 「いや 構わぬ」

おふくろ様「…… では これにて…」

おふくろ様は帰って行った

若君 「・・・・・・・」

     若君;((許せよ おふくろ殿))

するとそこへ

小平太「若君   義母(はは)は何用あって参ったのでございますか?」

若君 「小平太   唯之助のことで 詫びに来たのじゃ 自身も深く案じておろうに…」

小平太「ですが そのことは決して口に出しません」

若君 「たいした女丈夫じゃ 信近はよい後添えを迎えたようじゃの」




そのころ唯の方は・・・

人質生活10日目―――――

   

  
高山の女中達は 唯が食べた食器をさげながら話していた

女中達「何とも あきれた姫様じゃ 今日も見事に ぺろりと平らげてござる」

   「飯びつも空じゃ おかわり三膳も召し上がった 
    肝が据わっておると言うか 厚かましいと言うか…」

     唯;((自分でもさすがにこの状況で どーなんだと思うけど・・・))

  「この10日でちょっと太った・・・ 気がする」

唯は自分の頬の肉を ぷにっとつまんで言った

     唯;((だって――― 毎日ごちそう(戦国時代にしては)を食べてゴロゴロしてるだけだもん
         いかんいかん))

だらしなく座っていた唯だが スクっと立ち上がって スクワットをはじめた
すると 部屋の隅に控えていた侍女が・・・

侍女 「阿湖姫様  いよいよ明日 お兄上の義次様が参られますな」

     唯;((だけど こうしていられるのも 今日までだ))

  「あ… 兄上ね  うん

侍女 「久しぶりのご対面 さぞや 嬉しゅうござりましょう」

  「うん… そりゃうれしーよね もちろん」

     唯;((明日になれば 阿湖姫の兄という人が会いに来るらしい
         そんなのが来たら  当然・・・))




   『 兄上 「こやつ わたしの妹ではござらぬ!!  おのれは何者じゃ!!」

       「  そんな 兄上 妹でござろ?  」  』





     唯;((ごまかせるわけもないし ニセ者だとバレる…  
         …ま あのしもぶくれと結婚するぐらいなら
         自分から 『阿湖姫じゃない』って白状するつもりだったけど
         バレたら しもぶくれとの結婚はなくなるけど 命もなくなるかも…
         羽木家の方では いったい どういう事になってるのか 全くわかんないし…
         そもそも若君様は 私がここにいること知ってるの?
         まさか私は死んだと思って 松丸阿湖と急接近とかしてるんじゃなかろーねっ
         むききっ    …… って いや…
         どこまでバカか 私はっ やきもち焼いてる場合かっ
         明日 死ぬかもしれないのに…   若君様―――――― ))




夜、黒羽城の厩
厩のかんぬき錠をそっとはずすと 後ろから 「若君」 と声をかけられ はっとして振り返る若君

若君 「誰じゃっ」

すると そこへ控えていたのは・・・

悪丸 「足軽の悪丸でござる」

若君 「悪丸… ここで何をしておる」

悪丸 「若君を待っておった」

若君 「なに?」

悪丸 「唯之助のおふくろ様に ここで待つように言われた
    これを お渡しせよと言われた」

ふろしきに包まれたものを渡す悪丸

若君 「それは?」

悪丸 「唯之助が おふくろ様に預けた物でござる
    でんでん丸  まぼ兵くん  金玉くんじゃ
    摩訶不思議な妖術を起こす道具でござる」

若君 「・・・そうか」

     若君;((尊の作った物じゃな 
         あのおふくろ殿には  やはり全て読まれておったか))

若君 「ごくろうであった おふくろ殿には よく礼を申してくれ」

悪丸 「いや わしはこのまま この荷を担いで若君のお供をする
    『決して若君の側を離れてはならぬ』 と言われた
    『吹雪には 十分に草を食(は)ませ 手入れをせよ』 とも言われた」

若君 「何と     ハハハ… 参った  恐ろしい人じゃの あのおふくろ殿は
    ・・・悪丸 よう聞け」

悪丸 「はい」

若君 「わしは これより 南下して夜のうちに 一旦 松丸領に入る
    そこから明日(みょうにち)松丸義次と名乗り 高山の長沢城へ向かうつもうじゃ
    首尾ようゆけば 城内に入ることはできよう
    が そこから 如何にして帰るかは 何の策もないぞ
    それでも来るか? それとも お前に良い策があるか?」

悪丸 「ある  帰りは松丸領へは入らず まっすぐ小垣へ向かえばうんと早うござる
    道はわしが知っておる 案内する」

若君 「ハハハハ   そうか それは頼もしいの
    よかろう 吹雪を引いてついて参れ」

悪丸 「はい」





夜が明けて―――――― 長沢城

家臣 「殿  松丸義次殿 一の門に到着されたそうにございます」

高山宗鶴「おお 着いたか して供の者は? 何名ほど連れて参った?」

家臣 「それが 供は足軽一名とのことで」

高山宗鶴「一人!?  ……… それは ちと 妙ではないか?」

家臣 「いえいえ 二男とはいえ 大事なせがれ殿を単身送り込むとは
    松丸様には ふたごころなしということかと」

高山宗鶴「ぬ? ぬはははは なるほどのぅ 
      よしっ お前はすぐに義次殿を出迎えに行き 客殿に案内(あない)せよ」

家臣 「はっ」

高山宗鶴「丁重にの」






そのころ 屋敷の中では 女中達が キャーキャー騒いでいた

  「なんか騒がしいけど 何かあったの?」

女中1 「兄上の義次様でござりまするよ」

  「・・・へ?」

女中1 「客殿に お入りになるのを隠れて見に行った女中らが うち騒いでおりまする」

女中2 「お兄上様は たいそう雅な美男子にあられるそうにございますね?」

  「そ…そう? たいしたことない…けど」

     唯;(( 知らんわ ))

侍女 「姫様 お支度は整われましたか?  殿がお呼びにござりまする」

     唯;((いよいよ来たか・・・ ))

  「う・・・はい」

     唯;((うわあああっ どーしよー  さすがに怖いよ―――))


宗鶴、宗熊のいる広間につくと・・・

高山宗鶴「おお 姫 参られたか  さ 中へ」

  「は・・・はぁ  ど―――も・・・」

唯は兄上に顔を見られないように下を向いたまま広間に入りぺたりと座った

高山宗鶴「何じゃ? 如何された?
    遠慮はいらぬ 兄上に近(ちこ)う  お顔を見せてあげなされ」

  「はあ・・・」

バレることを恐れ顔を上げることができない唯は 伏したまま ズリズリと進んだ

高山宗鶴「うっ… 気味の悪い動きをするのぅ」

義次(?)「久しぶりじゃの 妹よ」

  「で・・・ですねー」

     唯;(( え!? そっ・・・その声!! ))

唯はやっと顔を上げる
すると 阿湖姫の兄 義次としてそこに座っているのは・・・

     唯;(( 若君様アアアアアアアアアア!! ))

忠清若君だった

【第四十四戦へ続く・・・】

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